8月28日 免許更新にて

初めて、免許更新というものをする為に、新ノ口駅の運転免許センターへと向かった。
新ノ口駅なんてもう何年も使っていなかったので、すっかり勝手を忘れ、乗り換えを5度間違えながらもどうにか受付時間までに向かうことができた。

 

ところでその日の獅子座は12位。
Yahooの占いでは「わからないことや、できないことがあったら素直に人に聞くと良い」と書いてあった。ラッキーカラーは緑。ラッキーアイテムは「うどん」で、「みどたぬ(緑のたぬき)」を持っていれば万全なのかと安直な発想をしてしまう。

 

限定的な免許の名前を冠しているだけあって、やはりその施設の前には免許を取得しようとしている人と、免許を更新しようとしている人、はたまた返納しようとしている人が集まっていた。
これがふぐ調理師免許センターであれば、「絶対合格!ふぐ調理師免許マスター100」をもちながら緊張の面持ちで佇む人もいれば、一度毒入りのふぐを提供してしまったばかりに、これから受講する違反者講習を前に憂鬱な人もいるのだろう。

 

整理券を受け取り入場すると、係員が機械的な動作で用紙を配布し、そしてまた別の係員が機械的な口調で次の場所へ誘導を行った。向かった先の係員は電池切れのため、料金の支払いは普通の人間が行うことに。「ありがとうございます、次は3番の窓口へどうぞ」と案内してくれた。

 

視力検査・写真撮影を終えて講習の会場へと向かう。
会場に集まっているのは皆一度も事故や違反をおこさず、点数を守りきった所謂「優良運転者」。まだ講習自体は始まっていないが、皆背筋をピンと伸ばし、誇り高い表情をして開始までの時間を過ごしている。そういえば会場に向かう最中チラッと見えた違反者講習の会場は皆 机に足を乗せ、ある者はタバコを吸いながら、またある者は教壇の男にゴミを投げていた気がする。

 

講習が始まると早速DVDが流れ、近年改正された自動車に関する法律についての案内が流れる。
が、しかしDVDの音量が小さく、うまく聞き取ることができない。このままやりすごすか?いやただ私も優良運転者の端くれ、法律の改正については知っておく必要があるのではないか。そんな葛藤が生まれる。そこでふと、今朝見たyahoo占いの一文を思い出す。「わからないことや、できないことがあったら素直に人に聞くと良い」。私は恐る恐る教団の男に向かって「あの、すみません音量が・・・」


「よく聞こえないです」「ボリュームをあげてもらえますか」

驚くべきことに、私と同時に複数人が同じような要求を教壇の男にしてくれた。私はあげようとしていた右手を膝に戻し、教壇の男はああすみませんねとDVDの音量を上げた。
はっきりと聞き取れるようにはなったが法律の改正に関する内容は難しく、これは一度で理解できる人は相当少ないのでは、と思った。すると自分の疑問を代弁するかのように、「この法律はつまり軽自動車を2台同時に運転しないといけないということですか?」「レッドブルの使用本数は3本とのことですが、それぞれ何ミリリットルの缶ですか?」といった鋭い意見が飛び交った。


そこで気づく。そういえばこの免許更新は誕生日の前後1ヶ月以内に受けなければいけないもの、つまりーここに集まったほぼ全員は獅子座だということに。
そういえば心なしか、緑の服の人間や、うどんを食べている人間が多い。

 

結局優良運転者講習は大盛り上がり。違反者講習よりも長い時間の質問大会となり、うどんをおかわりする人もいた。
出口で無事ゴールド免許を受け取り、財布に入れようとすると黄色のタンクトップを男性が喋りかけてきた。
「どうですか?写真うまく撮れてましたか?免許証の写真ってねぇ、あんまり写りよくならないですよねぇ。あ、でもあなたよりはどうやら写りがよく撮れてそうだ。よかった、よかった。」

 

あいつは乙女座だと思う。